1/144 F-4E PHANTOM II "MOBIUS 1"
(トミーテック)
2013 10/6完成

ナムコのPS2用ゲーム、"ACECOMBAT04 shattered skies(以下AC04)"より
ISAF空軍第118戦術航空隊(118TFW)所属機、"メビウス1"が最初に搭乗するF-4EファントムIIです。

このF-4Eはゲーム内でプレイヤーの初期機体として設定されている機体で、
ストーリーモードのミッション01では空母から発艦して敵爆撃機の迎撃に向かうこととなります。

この出撃時に挿入されるムービーでは空母からの一連の発艦シークエンスが描かれており、
E型が空母からランチバーでカタパルト発艦、迎撃任務なのに無誘導爆弾搭載など
よくよく考えれば色々と変ですが、そんな違和感を吹き飛ばすような迫力あるカメラワークと
(当時としては)実写と見まごう画質に圧倒され、印象に残ってる方も多いのではないでしょうか。

今回はトミーテックの技MIX F-4Eをリペイント&小改造してメビウス1仕様とし、
また空母の飛行甲板を模したベースを製作することでこのムービーの場面を再現してみました。
使用キットは技MIXシリーズ AC105「航空自衛隊F-4EJ 第306飛行隊(小松基地・1984戦競)」です。

F-4だけでも複数バリエーションのある技MIXの中で、このAC105を選んだ理由は
主翼や垂直尾翼端のアンテナ、水平尾翼の補強板といった細部の特徴がAC04内の機体と
ほぼ同一であったためです。なお、空自の機体には主翼前縁のスラットが存在しませんが、
AC04のF-4Eも同様であるため問題にはなりませんでした。(後のACシリーズのF-4Eには存在します)

ちなみに、キャノピーフレームが青に近いグレーなのでマスキングの必要が無いのでは・・・という
下心もありましたが、よく見ると色が全然違うのとグレーの部分があるため結局塗り直しとなりました。

塗装剥がしには車用のガソリン水抜き剤(IPA)を使用、今回はプラパーツの脆化や
クリアパーツが曇るといったトラブルは発生しませんでした。
元が完全塗装済みの(ほぼ)スナップキットとして設計されているため、
パーツの合いは非常に優秀で、合わせ目消しや削り合わせといった手間は最小限で済みました。

今回はコクピットを中心的にディテールアップを行なっており、シートのパイプ類や
後席計器盤裏の配線、前席フード上の照準器(HUDではないらしい?)等々を追加しています。
また、計器盤のデカールにはMYKデザインのF-4用コーションデータデカールを使用しています。
もっとも、ご覧の通りスケールの小ささとキャノピーフレームの多さで殆ど見えなくなりましたが…

パイロットは後席がキット付属品ですが、腕の位置がよくわからないことになっているため
前席にはFOXONEさんのフィギュアを使用しています。サイズはほぼ同一で違和感はありません。
メビウス1の特徴として、ヘルメットの額部分が赤くなっているのでF-22と同様に再現してみました。

外観ではレドーム先端と垂直尾翼前縁のピトー管を真鍮パイプと真鍮線で追加した他、
機首右側面のAOAプローブを先を尖らせた真鍮線で追加する等ディテールアップを施しています。

また、ゲーム内に登場した機体の特徴を再現すべく、前述の空母からの発艦に用いる
前脚のランチバーをプラ材で追加した他、主翼上面のフェンスをプラ板で追加しています。
ちなみにこのフェンス、実機では主翼前縁にスラットを装備している機体にのみ存在するようですが
外見上目立つポイントであることから今回は実機を無視してフェンスを追加しました。
他、地味な部分ではありますが、垂直尾翼の編隊灯はモールドを埋め、上端に移動させています。
機体上面の青はグリーンマックス鉄道カラー22番のブルーBを使用しました。
微妙に緑っぽい青を探して試してみたのですがほぼイメージ通りの色になったと思います。
機体下面の白は定番のMr.カラー316番です。
上下の塗り分けは境界が微妙で、また一部には左右非対称な部分があるのですが、
細切りマスキングテープ等を駆使して何とか忠実になるように頑張ってみました。

デカールはいつも通りのK-TRADINGのミラクルデカール、今回は全てホワイト用紙を使用しました。
なお、ゲーム内だと機首の黄色矢印の位置が前過ぎたり、コーション類が左右対称だったりと
適当なため、一部形状を変えたり、機番の位置をずらす等して自然に見えるよう調整しています。

インテークの下や前脚にあるライトにはハイキューパーツのセンサー用メタリックシールを使用。
また、垂直尾翼前縁の衝突防止灯にはハセガワのミラーフィニッシュを貼った上に、
クリアーレッドを重ね塗りしてみました。どちらも実物では綺麗に光って良い感じです。
機体下面の密度感はこのキットの見せ場の1つではないでしょうか。
くどいとは思いながらも、脚収納庫やパネルラインのモールドはスミ入れしていて楽しいです。

武装はゲームに従い、通常ミサイル×2と無誘導爆弾×4です。
通常ミサイル(MSSL)はいつも通りのAIM-9Mで、ジャンク(レベルのF-14?)からの流用です。
ゲームではパイロンの下に付きますが今回はランチャーの外側に搭載しました。
無誘導爆弾(UGBM)は本来、AC04の設定ではMk.83 1000ポンド爆弾なのですが
TERを介するこの搭載方法だと主脚と干渉してしまうため、苦肉の策として一回り小型な
Mk.82 500ポンド爆弾を使用しています。TER、Mk.82は技MIXの米軍ウェポンセット3から、
またそれらを懸架する主翼外側のパイロンは同米軍ウェポンセット2から流用しています。

ちなみに爆弾と主脚のクリアランスはMk.82を用いてもギリギリ、というか若干干渉します。
それでもMk.83に拘るのであればアリイの爆弾セットAやレベルのF/A-18Eに付属していますが…
エンジンノズルには純正のノズル発光セットを組み込んであります。
難しい工作が一切不要な上、スタンドが取り外し式に出来る等のメリットは多いのですが
構造上どうしても光量不足気味になるのは残念。今度は改造に挑戦してみたい部分です。

これまで触れてきませんでしたが、スタンドには技MIXのF-15C ガルム1/ガルム2に付属している
クリアー成形のスタンドを使用してきました。発光セットのも主張しすぎない良いデザインですが
飛行姿勢で撮るには、やはりクリアー成形の方が良いかと思います。

ちなみに補足ですが、上から6枚目の着艦シーン的な画像、
アレスティングフックはキットのままでダウン状態が可能な差し替え式となっています。
ゲームでは発艦はもちろん、着艦することも可能だったので結構印象的なポイントです。
台座にはカワイの木製飾り台(品番P-6、長方形/150×100×15)を使用しています。
サフ吹いて削る、を繰り返して木目を目立たない程度まで埋めて仕上げました。

今回は発艦のため、カタパルトへ向かうシーンをイメージして製作しています。
ムービーのように回頭するシーンも良かったのですが構図が決まらなかったので無難な配置に。

飛行甲板は主にプラ板で、ジェットブラストディフレクター等はスジ彫りで表現。
エバーグリーンのチャンネル材でカタパルトレールっぽくしてみました。
また、レールの終点にはプラ材で、何かのガイドのような物を再現しています。

甲板表面のコーティングは濃い目にしたサフの筆塗りで表現(殆ど見えなくなってしまいましたが…)
係留用のパッドアイはグレーで塗って丸くマスキングした後、クリアデカールで穴部分を作って
貼ってみましたがそれっぽくなったでしょうか?というか数多すぎたような…

■その他書ききれなかったこと等

●機体の工作編
・インテークのスプリッターベーンはインテーク内壁と一体パーツなので、塗装の利便性のために切り離して塗装後に再接着。
・レドームのピトー管はキットに金属線が付属しているが、途中の段差が再現できないのと若干曲がっていたので自作。
・エアブレーキは閉じるのが勿体ない出来だったが、着陸シーンでもない限り開いていると不自然なので固定。
・ゲームの機体は各部のアンテナやピトー管が無いが、単に省略されているだけと判断して普通に実機同様に製作。
・射出座席の射出ハンドルは、キットでは塗られていないがちゃんとモールドがあるので塗り分けるだけで良い雰囲気になる。
・コクピットには操縦桿がちゃんとある上に、サイドコンソールにはモールドがある。
・主翼上面のフェンスの形状は正直適当。実機でも多少のバリエーションがある模様。どのみちスラット無しの架空使用なので
 ゲームの形状に近付くように直線的な形状のものとした。
・主翼外側パイロンの爆弾について補足。ゲームではパイロンの形状が若干異なる上、TERの装着位置がパイロンの
 前端付近であるため、恐らくMk.83を搭載しても主脚に干渉しないようになっていると思われる。

●機体の塗装・マーキング編
・機体上下の塗り分けは、主翼後方の形状が左右で異なっている。右側は緩い曲線となっているのに対し、
 左側は鈍角状に途中で折れ曲がったようになっている。今回は左右とも左側の折れ曲がった形状を採用。
・尾部の無塗装部分はシルバーで塗った後に、タミヤのウェザリングマスターで色の違いを表現。一番下の画像では
 照明で一部色が飛んでしまっているので他の画像を参照。ちなみにキットの無塗装表現は素晴らしいので出来れば残したかった。
・主翼上面のウォークウェイは何故か線が黄色なので自作。外側に赤いコーションデータがうっすらと記入されているので他から流用。
・ウォークウェイの内側が若干色が違うのは印刷の際、色合わせが微妙だったせい。実物ではあまり目立たないが…
・編隊灯は良いサイズのが無かったのでGSRの蓄光デカールから切り出し。なので若干光るが写真では映らない。
・メビウスのエンブレム周囲の水色っぽい塗り分けは先に塗ってからマスキングして機体色を塗装。
・メビウスのエンブレムには機体色による縁取りがあるため、デカール塗ってから息止めて筆塗り。マスキングよりは楽?
・ゲームではインテーク側面のスリーアローヘッドが何故か下寄り気味になっているので再現。決して場所決めをミスったのではない。
・レドームの先端は少し色を変えてみたがゲームでは正直よく分からない。若干違うようにも見えるような見えないような…?
・機首のコーションデータ補足、座席射出用の黄色い[RESCUE]矢印は射出ハンドルのあるパネルの位置を表しているが、
 ゲームの機体では位置が前過ぎてパネルの位置からずれている。正しい位置は編隊灯の上辺り。しかしその位置には
 ゲームの機体では機番が記入されており重なってしまう。そのため、今回は正しいパネルの位置を優先し、機番の位置を
 空自の機体とほぼ同じ位置に移動させることで違和感を可能な限り少なくした(つもり)。
・機首のアーマメントパネル(黒の四角い線)は実機では左側にしかない。また、RESCUE矢印は実機では「左側にある」的な
 意味の書かれたコーションが右側にあるので自作して追加。
・射出座席を示す赤い下向き三角形は、流用しようと思ったデカールが全て版ズレしていて下地の白が目立ったので
 若干形が違うがF-14の物を流用。同じ艦載機だしこれはこれでアレンジ、ということで…
・キャノピー前面のクリアブルーはハセガワのフィニッシュを使用。
・エースコンバットZEROのF-4Eはメビウス1とほぼ同じカラーリング。


●飛行甲板編
・飛行甲板にはフィギュアが欲しかったが、構図的に配置する場所が無かったので今回はオミット。
・ミッション01の発艦ムービーで真上からコクピットを見下ろすシーンがあるが、そこではヘルメットの額部分は赤くない。
・発艦シーンではよく見ると前脚が伸びて機首上げ姿勢になっている。
・発艦する空母はキティホーク級っぽい。艦の番号は04。AC04公式サイトのワールドニュースより、恐らく艦名は「フォート・グレイス」。
・空母の艦橋をよく見るとISAFのスリーアローヘッドが描かれている。
・ムービーでは飛行甲板のテクスチャが梨地状だが、実際はツィメリットコーティングのような筋状になっているので筆目で再現。
 一部コーティングの継ぎ目を再現したが殆ど見えない。




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