1/72 F-15C EAGLE "GALM 1"
(ハセガワ)
2010 12/30完成



ナムコのPS2用ゲーム、"ACECOMBAT ZERO THE BELKAN WAR "より
ウスティオ空軍第6航空師団第66飛行隊"ガルム隊"1番機、"ガルム1"です。

ガルム1、TACネーム"サイファー(Cipher)"は1995年にオーシア大陸で勃発したベルカ戦争に
投入されたウスティオ共和国所属の外国人傭兵部隊に所属するパイロットの一人であり、
ゲーム中ではプレイヤーの分身となる存在です。

片羽の妖精ことラリー・フォルク、TACネーム"ピクシー"と2機でコンビを組み
各地の戦線で多大な戦果を挙げ、歴戦のベルカ空軍エースをも圧倒する
その活躍はやがて"円卓の鬼神"の仇名と共に敵味方に知れ渡ることになりました。

ベルカ戦争終戦以降はピクシーの行方不明に伴い、クロウ隊の3番機PJを
ガルム2として迎え、残党部隊の掃討やクーデター組織"国境なき世界"との戦闘の
最前線で戦い続けました。戦闘終結後の足どりは一切不明となっています。


ゲーム中ではメビウス1同様に乗機が固定されているわけではありませんが、
パッケージや公式壁紙では殆どの場合ガルム1はF-15Cで描かれていたり、
僚機であるピクシーがF-15Cに搭乗していることから、公式でもACファンの間でも
ガルム1=F-15Cというイメージの人は相当多いだろうと思われます。

かく言う私もその一人で、ゲームで入手した後は結構な期間F-15Cを使っていました。
比較的入手しやすいF-15Cですが、実は性能はかなり高い方であり、
最高難易度Aceでも余裕で全ミッションクリアできるレベルでした。

なお、F-15Cが使用可能機体としてエースコンバットシリーズに登場したのは
ゼロが最後となっており、以降の6やX2ではF-15Eのカラーバリエーションとして
このカラーリングが使用可能となっています。X2ではスペシャルミッションで
敵機にこのカラーのF-15Eが登場しますが、機体名の表記は"GARM"となっています。
実は元ネタ(北欧神話)的にはガルムはGARMが正解らしいですが…。
ちなみにX2に登場するガルム1カラーは、よくよく見ると主翼の青の塗り分けが間違っています。




ゲームの話はプレイして頂ければその素晴らしさがわかると思いますので
この辺で切り上げるとして、作品の話。

前作メビウス1に続き、AC+飛行状態+電飾のスタイルで製作しています。
今回は更に電飾部分に光ファイバーを使用して、翼端灯や尾灯の点灯にも
挑戦してみました。

とりあえず製作してみてわかったことは、キットには電飾の向き不向きがあるということ。
特にドイツレベルのF-22Aはまさに電飾するために生まれてきたようなキットで、
点灯箇所の少なさ、電池ボックス用にぴったりなウェポンベイと調整無しでピッタリ合う
ウェポンベイドア等、電飾するにはあまりにも好都合な点が揃っていました。
そういう意味では先にF-22A作ったのは練習台として好都合だったのかも知れません。
まさかこのF-15Cではここまで苦労させられるとは思ってもみませんでした…




キットはハセガワの1/72新版(凹モールド)を使用。

組み易さとディテールが適度にバランスしており、1/72ではベストキットとの呼び声も高い
製品ですが、やはり発売からかなり時間が経っていることもあってバリやモールドの荒れも
多く、その辺りの修正だけでも結構な時間を要しました。

また、今回は飛行状態にしたりエアインテークを下げたり電飾を仕込んだりと
色々といじくり回したので余計に手間がかかり、一層組みにくさに拍車をかける
結果となってしまいました。改造と関係なくても、特にキャノピーやエンジンノズルの
組み立ては恐らく初心者には結構なネックになるだろうと思われます。


製作はいつも通り素組み…とはちょっと言えない状態です。
以下、主な修正・改造ポイントの羅列。

・飛行状態で製作、スタンド接続用のナットを機内に設置
・コクピットにはプラッツのエッチングパーツとアイリスのレジン製シートを使用
・パイロットを他から流用、ヘルメットをHGU-55に改造
・エアインテークをダウン状態に改造
・各部の余分なモールド削除と必要なモールド追加
・アイリスのレジン製エンジンノズル使用
・AOAプローブをマチ針で置き換え
・水平尾翼を真鍮パイプで可動式に改造
・バルカン砲口の形状修正
・ドロップタンクを真鍮線と磁石で着脱可能に
・電飾用光ファイバー、LED、電池ボックス等を内蔵


先に述べたとおり、このキットは組み立て上の問題点が結構あります。
覚えている分だけ羅列しておくと…

・バリや荒れが多くそのままだとパーツの合いがひどい
・キャノピー、特に前部が全く合わず、後部は閉じると幅が広くて機首と合わない
・エンジンノズルがバラバラで組み立て難易度高い
・機首と胴体の繋がり部分が補強とガイド必須
・アンテナやマスバランスなど、破損しそうな部分が殆ど一体成型
・アウトリガー等、尖った部分がだるかったり欠けたりしている(個体差?)
・胴体側面のパネルラインが殆ど消えかかっている

他にもディテール等含めるとキリが無いほどツッコミどころがありますが省略。
実際修正に要する難易度はそこまで高くありませんが、それでも
手放しでは初心者にはおすすめしかねる内容だと思います。


F-22の時もでしたがこのアングル結構気に入っています。

塗装は空自F-15Jや米空軍F-15初期の制空迷彩、お馴染みの
Mr.カラー307・308番による迷彩塗装を基本としています。

塗装はまずサフから、黒に近いダークグレー、翼の青、308番、307番、
機体後部の無塗装部分、インテーク可動部や機首の明るいグレー、
細部塗装といった順で行っています。

迷彩は説明書を拡大して型紙を製作して塗装しましたが、308番を塗装する際
下地のダークグレーを残しすぎたせいで307番との境界が殆どわからなくなりました。
一応迷彩塗装後にフリーハンドで308番を境界をメインに局部的に吹き直したので
多少はマシになったと思いますがいかがでしょうか


エンブレム類のデカールはいつも通りKトレのミラクルデカールで自作です。
コーションデータはホビーショーのジャンク市で入手した「F-15A ADTAC」を流用。
このコーションデータが曲者で、ニスが多い上にシルバリングしやすいため
貼った後に余白を切り取ったりソフターで馴染ませるのに結構手間取りました。

エンブレム類のデータは当初ネットで探しましたが、サイズが小さすぎたり
間違っていたりでとても使えないものばかりだったので結局殆ど自作しました。
特にガルムのマークは簡単に見つかるだろうと思ったら正しいものは
1つも見つからなかったという始末…どれも口の周辺(鎖)が間違っていました。

機番、テイルレターはいつも通り米空軍や空自等で用いられている45度フォント、
ウスティオの国籍マークはCADソフトで作図、ガルムもCADソフトでトレスして
ハッチングで色つけして印刷しています。


ドロップタンクを外した状態。何となく貧弱に見えるのでタンク付きの方が私は好きです。

デカールの続き。
ネットでも結構ガルム隊の機体の作品は見ますが、何故か殆どの作品で
無視されている第6航空師団のマーク(垂直尾翼の機番の前)はバンナムの
公式サイトから持って来ました。画像サイズは小さいですがマーク自体も小さいので
使用に際して特に問題はありませんでした。

機首や主翼端、胴体後部側面の編隊灯にはGSRの蓄光デカールを使用しています。
上から自作の枠を印刷したデカールを貼っています。
ラプターの時使用したテープでは翼端に貼れないのでこちらを使用しましたが、
発光時間が短い上に明るさも全然足りませんでした…極付けは曲面に馴染まないこと。
これなら蓄光塗料等を使用したほうが良かったかも知れません。


デカール貼りを終えた後、一旦クリアーコートしてからスミ入れを行い、
その後局部的にエナメルのスモーク等でオイルやスス等の汚れ、シャドーを加えています。

エンジンの無塗装部は実機ではチタン製なのでクレオスのスーパーメタリックカラーから
チタンシルバーを使用。僅かに黄色っぽさを帯びたシルバーです。
その上から実機で見られるような焼けの表現をスモークやクリアーオレンジで施します。

ちなみにこの汚れ方にも各国の機体で若干差があるようで、手元の資料本を見ると
例えば沖縄米軍のC型はダクトらしき部分から鮮やかなオレンジ色の汚れ(?)が
吹き出したように付着しているのが確認できますが、空自のJ型だとオイルや焼け、
スス等に隠れてしまっているのかそのような汚れは全く見えません。
また、J型は全体的にかなり黒ずんで見えますが、米軍の機体は比較的綺麗で
金属光沢がはっきりと確認できます。今回の製作は模型映えを考えて
両者の要素をどぎつくならない程度に意識しながら取り入れてみました。


F-15といえば空自の機体の独特な汚れ方が印象的ですが、米空軍の機体や
ゲーム中のモデルではあのようなギトギトな汚れ方はしていません。
ただ、だからといって汚れの無い綺麗な機体というのも模型的には少し
面白みに欠けるので、今回は空自機ほどではないものの全体的に
汚しを施し、またパネルラインにはシャドー塗装を行っています。

汚しは基本的に写真等を参考にしますが、一部は「ここはこう汚れるんだろうな」
という想像も含めて作業を行っています。

ちなみに、エアブレーキは素材の関係からか汚れにくいようで、
実機でもエアブレーキだけ妙に綺麗な写真が散見されます。


機体下面。デカールが少なく寂しいので、ワンポイントで
ジャンクからチャフ・フレアディスペンサーのデカールを貼ってみました。

武装は全てハセガワの「エアクラフトウェポンV」から。
AIM-9M×4、AIM-120B×4のフル装備です。
ゲーム中ではこの積み方は出来ませんが、公式の壁紙等では
ドロップタンクと合わせてこの積み方になっています。
なお、本当はAIM-120はB型でなくC型ですが手元にあるジャンクパーツが
どれも出来が微妙なので今回は一番まともなハセガワのB型で妥協しました。

AIM-120は胴体の元スパロー用のステーションに搭載しますが、
構造上、機体と密着しないのでどうにもしっくり収まりません。
また後方の2発は角度やフィンの位置関係などイマイチ実機通りにならず、仕方なく
一番違和感の少ない感じで付けてみましたがこれで正しいのかはわかりません。


      PJ
<<
必ずここに戻る>>

今回の目玉…にするはずだった電飾。
一応他の画像でも殆ど点灯状態で撮影していますがエンジン以外まったくわかりませんね。

画像ではエンジン、尾灯、翼端灯、コクピット計器が発光しているのが
わかると思います。他に見えていない部分で、主翼前縁の衝突防止灯と
コクピットのHUD投影用のレンズが発光しています。主にネットで晒すだけの作品で
発光状態をお伝えできないのではまさに自己満足ですが、まあ元々私の模型なんて
殆ど最初から自己満足の塊なのでまあ良しとします。

効果のほどがさっぱり伝わらないのはやはり編隊灯でしょうか。
よーく見ると微妙にボヤッと明るいのがわかりませんか?…わかりませんよね


コクピット周辺。爆死覚悟のドアップ画像でお届けします。
実物の倍以上のサイズになるので粗探しはご遠慮下さい。

追加した計器フード上のディテール、エッチングを使用したHUD、
バイザー付近を改造したフィギュアのヘルメット等がよくわかると思います。
フィギュア肩のグチャグチャっとしたのはガルム隊のパッチ…のつもり。
シートはフィギュア座らせてしまったので見えにくいですが、
アイリスのレジンパーツなのでディテールは抜群です。

キャノピーは元々傷が多かったのでペーパーとコンパウンドで磨いています。
キャノピーフレームにはプラッツのF-15用別売りデカールを使ってリベットを再現。
少し幅が狭すぎたので、先にフレームは色を合わせた茶色で塗っておきます。
なお、このフレーム部分はよく銅色と誤解されますが実機はベークライトのような
樹脂製らしく、金属色ではなく赤みを帯びた茶色となっています。


電池はエアブレーキ内部にLR41×4個用のボックスを内蔵しています。
前側の無駄に大きな切り欠きはスイッチを置こうとして諦めた名残。
フタとなるエアブレーキは磁石で隙間なく固定できるようになっています。
エアブレーキ前部の棒状の部分は機体側との合いが悪く、プラ板を挟んだり
エアブレーキを削ったりしながら何とか適度な隙間を残すことに成功しました。

光ファイバー用の白色LEDは機首レドーム内にあり、航法灯用のファイバーは
コクピット後方の電子機器室を経由して各翼に通っています。
この画像で、ボックスの向こうにファイバーが絡まないようにするガイド用の
透明プラパイプが見えていると思います。


エンジンノズルはアイリスのレジンパーツです。
ノズルだけでなく奥のダクトやファン、アフターバーナーリングのエッチングも
付属しており、電飾する上ではリングとダクトはかなり重宝します。

このキットの場合はエンジンノズルの円筒部分がバラバラに分割されており、
5分割されたパーツを真円に組み立てるのは経験があっても至難の業です。
そう考えると、キットのパーツ使うよりはこのレジンパーツ買ってしまったほうが
組み立ての上でもディテールの上でもはるかに良い選択だと思います。
作動ロッドの組み付けだけは少々面倒ですが、それはキットのパーツも同じ事ですし。

ノズル表面はガンメタルで塗装後、タミヤウェザリングマスターのライトガンメタルで
エッジやモールドを中心にハイライトを付けています。
ノズル内部は白ですが、相当汚れるようなのでエアブラシと筆、綿棒等を使用して
かなり派手めに汚しています。


左上:ウィザード隊YF-23と。

右上:ゴルト隊Su-47と。
    今見ると結構ひどい出来だなあ…
    いつかYF-23共々作り直したいものです。

左下:メビウス1のF-22と。
    この2機を敵に回したら勝てる気がしません

右下:たまごひこーきガルム1と。
    青は新規に調色しましたが色合いが殆ど一緒で驚きました。
    ネームプレートは少しデザインを変えています。

あ、エスパーダ1とADF-01Fと撮影するの忘れた…


某所でリクエスト頂いたので自然光の下で撮影してみました。
画像はスタンドを画像編集で消した上で少しコントラストを弱めています。

スタンドを手に持って、機体との接続部分が写らないように撮影したため
あまり大胆な姿勢は取れず、大体似たようなアングルばかりになりました。
また、画像が少し横長なのは下の方にスタンドの台座とか、それを持っている
手が写りこんでいたのをトリミングしたためです。

何となく雰囲気は出てると思うんですが、背景が快晴の空なので
雲も何も写ってないので少し不自然な感じになってしまいますね。
ただ、これで地上から見た雲とか写っててもそれはそれで不自然ですが…
季節や天候、時間帯を変えて撮影してみるとまた少し雰囲気も変わるでしょうか?

ちなみに電飾は点灯していません。一度点けて撮影してみたんですが
完全に判別できなかったので… さすがにエンジンは見えましたが、
エンジンが写るような後ろのアングルから撮ると、どうしても何か変な感じの
画像になってしまうので結局こちらも点灯させていません。





突然ですが、色々書ききれなかった事とかの補足です。

■「ゲーム中」と「公式の壁紙」の機体の違い
・ゲーム中はJ型(マスバランス形状以外)や米空軍以外のC型に近い。壁紙は米空軍のMSIPU(2)。
 機首上下、アウトリガーのアンテナの有無などが違う。
・ゲーム中の武装はAIM-9M×2を基本に、AIM-120C×4かAIM-9X ×2か無誘導爆弾×2。
 壁紙はAIM-9M×4、AIM-120C×4、ドロップタンク×2。
・ゲーム中と壁紙では迷彩のパターンが違う。壁紙は実機では見たことがない独特のパターン。

大体こんな感じの差異があります。ちなみにゲームパッケージは壁紙に近いです。
どちらか片方に絞って完璧に再現するのは難しいので、今回はゲーム中を基本に
武装は壁紙、細部は実機を参考にして製作しました。

■その他
・ゲーム中、公式ともにコーションデータが色付きのものと黒だけの物が混在しています。
 例えばキャノピー下の射出座席を示す三角は赤なのにキャノピー射出レバーを示す矢印は黒だったりします。
 実機では大抵両方を色付きかロービジかで統一しているはずです。この辺はわざわざデカールをそれ用に用意するのも
 どうかと思ったので、今回使用した「F-15A ADTAC」のデカールに従って色付きのものに統一しています。
・空中給油口は色がはっきりしません。壁紙では何となく空自のような青竹色に見えなくもないですが
 それにしては少し色が薄いし、ゲーム中のモデルではパッと見では機体と同色に見えますが日時や機体の角度を
 変えてみるとシルバーのように見えなくもありません。青竹色は個人的に主張が強すぎて好きな色ではないので
 除外して、機体と同色なのかシルバーの二択になりますが、実機では米空軍機は機体と同色なものの、どこの国の
 機体でもシルバーというのは確認できませんでした。ただ、何回もゲームで見た結果同色では無いように見えることから
 結果的に少しグレーを足して周囲との色の差を小さくしたシルバーに決定しました。
・空中給油口周囲のラインは、手持ちのデカールではどれもサイズが合いませんでした。というわけで仕方なく筆塗り。
 面相筆を使い、フリーハンドで一発勝負です。
・レドームだけ色が少し明るいのは壁紙・ゲーム中で共通の仕様です。ちなみに実機(F-15J)だと
 レドームの方が明るい機体とレドームのほうが暗い機体の2種類あるようです。
・水平尾翼のパネルラインは凹で再現されていますが、実機では一部のラインは補強板状に
 出っ張っているのでプラストライプで再現しました。ただ、ここやるんだったらフラップとエルロンの
 凸状の補強板(?)も再現するべきだったかも知れません。
・垂直尾翼は電飾で光ファイバー入れる都合上塗装前に接着しましたが、隙間埋めや塗装などの作業の際に
 とてつもなく邪魔になります。 今回のように電飾する場合や、どうしても隙間を埋めたい場合以外は
 機体とは別々に製作して塗装後に取り付けた方が良いと思います。ただ、実機ではパネルラインが無い部分な上に
 パーツの合いが悪く段差や隙間が残りやすいので、見栄えだけを考えると先に接着した方が綺麗ではありますが…




inserted by FC2 system