ハセガワ1/72 三菱F-2A製作記 2009 8/4〜9/7完成

ハセガワの1/72 F-2Aを製作します。
このキットは数年前に一度作ったことがありますが、
とても組み易く良いキットだったと記憶しています。

今回は、F-2が多く登場する某戦闘機漫画や
リンク先の「F-16祭り!」、また一部で話題となっている
ハセガワ製の某ゲームの「痛機」等の相乗効果で
このキットの製作を決定しました。

特に変わったことはしないつもりですが、
前に作ったのと全く同じでは面白くないので
多少のディテールアップにも挑戦してみようと思います。
とりあえず仮組から始めますが、前に製作した時に
基本的な注意点はある程度わかっていますので
主要部分の合いを確認する程度で済ませます。

まずコクピットから製作開始。
今回はプラッツ製(中身はエデュアルド製)の
エッチングを使用してディテールアップを行います。

なお、今回は1/72 F-2A用を使用しましたが
コクピット内部のパーツだけで良いのなら
同社のF-2B用エッチングパーツも使用可能です。
特に座席周りのパーツは小さくて無くしやすいので、
複座用だと予備として使えますから安心です。
計器盤フード、座席後ろ部分、フットペダル等に
エッチングパーツを接着した後、塗装を行います。
接着は普通のプラ用流し込み接着剤で十分です。
エッチングにはメタルプライマーの塗布を忘れずに。
この時点ではまだコンソール等のエッチングは着けません。

この後全体にエナメルでウォッシングを行い、
計器盤フードには更にグレーでドライブラシをかけます。

なお、コクピットのふちの部分に使用するシーリング状の
パーツのエッチング(26番)があるのですが、今回誤って
曲げてしまったた上に修復に失敗したため、
プラ材を曲げてそれらしいパーツを作り直しています。
計器盤、コンソール等のエッチングを着けた状態。
シートはキット付属のものを仮置きしています。

計器盤は2重構造になっており、目盛などが印刷された
上から穴の空いたエッチングを被せる構造なので
非常に精密かつリアルな仕上がりになります。
また、サイドコンソールにも非常に緻密なプリントが
されており、キットのデカールとは比べ物になりません。

ただ残念なのは、計器盤が少々大きめで多少の調整が
必要なのと、それに伴いパイロットフィギュアを
乗せることが不可能になってしまうことでしょうか。
まあ、パイロットを載せて誤魔化さなくても
十分鑑賞に堪える出来にはなるのですが…
エンジンノズル内部は簡素な造りですが、
後述するノズルパーツのお陰で中は殆ど見えません。
とりあえず全体を艶消し黒で塗っておき、
バーナーリング周辺にガンメタルでドライブラシします。

ここは説明書でバーナー部品(K9)を接着する部分の
指示が間違っていますので注意します。
実際は画像の通り1つ奥の出っ張りに合わせます。

なお、ノズルとエアブレーキの間の奥は空洞となりますが、
完成後も意外と見える部分なので広めに黒を塗ります。
ちなみに実機では、ここにはエンジン消火用と思われる
噴射装置がありますが、1/72では工作が難しい上に
大した効果も見込めませんので今回はそのままです。
胴体上部は、複座型とのコンパチキットのために
中央付近でパーツが前後で分割されています。

通常このような分割は前部と後部を合わせた後で
下部と合わせるのが定石ですが、このキットに限っては
先に後部を下部と合わせ、その後で前部を
合わせたほうが綺麗に仕上がります。

…って書いてもわかりにくいと思いますが…
パーツ番号で書くと、まずB1とA8を接着した後、
E1を接着するということです。この時、E1には
B1と接する部分にだけ接着剤を塗るとA8との間の
分割線が埋まらず、丁度パネルラインとして
残すことができます。
ここは上下に開くタイプのエアブレーキなので、
本来はここに上下の分割線が出来るはずです。

接着、合わせ目消しの後にスジ彫りしてもいいですが
今回は接着前にヤスリで上下の外側の角を面取りし、
上下を合わせた時ここに凹線が出来るようにしました。

…って書いてもやっぱりわかりにくいですよね。
試してみればわかると思いますが、とりあえず
どうしてもわからない方はメールか掲示板へどうぞ。

なお、話が前後しますがここの穴にはポリキャップが
収まる他、機首には多少の錘が必要となるので
機体上下を合わせる前には注意が必要です。
主翼は上下ともに多少の隙間が生じます。

無理やり合わせると上の隙間は消えるのですが、
そうすると今度は主翼に上反角がついてしまうので
おとなしく黒い瞬着で埋めておきます。
乾燥後ペーパーで削り、パネルラインを再生します。

隙間埋めよりも、段差や断面の修正の方が面倒ですので
私の場合、ある程度調整しても隙間が生じる場合は
素直に埋める事にしています。

なお、下側は隙間だけでなく段差も生じますが
何回か瞬着を盛って削りを繰り返せば綺麗に繋がります。
インテークダクトは一体成型のおかげで内部に
継ぎ目が出ない構造ですが、奥が行き止まりのために
そのままだとちょっとみっともないことになります。
また非常に奥まった部分のために、艶消し黒を塗って
奥行きがあるように見せる方法も使えません。

そこで今回は、まず突当たりの部分をエッチングノコで
まっすぐに切り落とし、その後ダクト内部を白に塗装、
最後に艶消し黒に塗ったプラバンを貼り付ける事で
奥行きがあるよう見せることにしました。

簡単な工作ではありますが、1/72スケールですし
目立たない部分を誤魔化すには丁度良いと思います。
インテークリップと周囲のパーツには段差が生じます。
(画像は修正後)

下側はリップが大きく、横側は周囲の方が大きいので
下側はそのまま削り、横側は一旦瞬着を盛って
綺麗にラインが繋がるように削ります。

リップと周囲の間のパネルラインは、先程の
エアブレーキと同様にしてまずガイドとなる
凹線を作っておき、その後でエッチングノコで整えます。
ここのラインは完全に埋めてしまうと、テンプレートでの
修正は非常に難しくなってしまいます。

なお、インテーク部品は機体とは別々に塗装します。
各翼後部の放電索の加工を行います。
キットではモールドで再現されていますが(画像右)、
プラパーツの宿命かちょっともっさりしているので
真鍮線に置き換えてシャープにします(画像左)

加工自体はそれほど難しくなく、基部を残して
プラパーツの出っ張っている部分を切り取り、
残った基部にピンバイスで0.3mmの穴を開けます。
難しいのはこの穴開けですが、ケガキ針で下穴を打つ、
穴をまっすぐに開ける、を意識すれば大丈夫です。
万一突き抜けたら瞬着で埋めればOKです。

なお、左画像ではとりあえず突っ込んであるだけで
破損防止のため接着は仕上げ段階で行います。
水平尾翼にも放電索がありますが、赤丸の部分のものは
その位置が間違っています。間違っているのは左で、
正しくは右の様になります。

というわけで基部を正しい位置に移植します。
パーツを横から見たときに Γ のように
デザインナイフで切れ込みを入れてやると
基部もろとも放電策が取れますので、そのまま
正しい位置に接着剤でしっかりと接着します。
後は主翼と同様の工作を行います。

なお、後で気づきましたが垂直尾翼の放電索も
位置が間違っています。気になる方は水平尾翼と
同様にして移植を行ってください。
ドロップタンクは実機と同様に、
前後を分割するパネルラインが凸線になっています。

凸線は合わせ目消しの際に一部途切れてしまいますが、
画像のようにデザインナイフで押すようにして彫ってやると
生じためくれによって凸線を再生することができます。

これは凸モールドのキットはもちろん、
キャノピーのパーティングライン消しで消えてしまった
窓枠の修正にも応用することが出来ます。
大体の工作が終了したら、塗装に備えます。
まずはコクピットのマスキング。

ある程度は細切りマスキングテープなどで
きっちりマスキングしますが、キャノピー後部の
凹みが深い部分等はマスキングゾルを流し込みます。
ゾルのはみ出しは乾燥前に指で擦れば取れます。

余談ですが、マスキングゾルが無い場合は
木工用ボンドでも代用できます。
このキットの難関、インテークリップの塗り分け。
特に良い方法も思いつきませんし、
ここは大人しく細いマスキングテープで対応します。

何回もチェックして、ラインが歪んでいないか、
左右で太さが違ったりしないか等を確認します。

ふちのラインが決まったら、後はティッシュを詰め込み
マスキングゾルを流し込んで固めます。
コクピット、インテークの他にエンジン部分、
垂直尾翼の差し込み穴等もマスキングしておきます。

マスキングが終わったら下地処理に入ります。
まずはいつも通り、タミヤの瓶入りサーフェイサーを
エアブラシで吹き付けます。

サーフェイサーを吹くと、無塗装状態ではわからなかった
粗がそこらじゅうに出てきますので、ラッカーパテや
場合によっては瞬着を使用して修正します。
粗が無くなるまで修正→サフ吹きを繰り返します。

サフ吹きが終わったら、表面のざらつきを
スポンジヤスリなどを使用して整えておきます。
話が前後しますが、機首脇のライトニングストリップは
横に位置するものの位置が間違っています。
キットでは真横(合わせ目上)に来ていますが、
実際は少し上に斜めに付くのが正解です。

そこで今回はまず、合わせ目消しの段階でモールドを
削り取ってしまい、正しい位置に再生することにしました。
なお、この作業は最初合わせ目消し直後に行いましたが
上手く定着しなかったためサフ吹き後にやり直しています。

作業自体は簡単で、マスキングテープで材料を留めて
上から流し込み接着剤で数回撫でて接着します。
その後不要部分を切り取り、上からサフを数回
重ね吹きすれば完成です。ちなみに材料は…後述します
塗装の前に、特徴的な洋上迷彩の塗色について。
キットの指定色もあながち間違いではないと思いますが、
どうしても納得行かなかったため自分で調色しました。

天候やカメラ等によってだいぶ見え方は違うようですが、
とりあえず雑誌等を参考に調色を行います。

ご覧になっているモニターの設定等によっても
相当見え方は違うと思いますが、とりあえず参考までに、
キット箱横の写真と比べるとこんな感じとなっています。
以下調色例
色名後の( )内の数字は比率ですが、
あくまで目分量ですのでご了承ください。

明るい方:
Mr.カラー72番ミディアムブルー(10)
Mr.カラーGX5スージーブルー(7)
Mr.カラー74番エアスペリオリティブルー(5)
ガイアカラーNo.063ブルーグレー(5)
ガイアカラーNo.024コバルトブルー(4)
暗い方:
Mr.カラー14番ネービーブルー(10)、
Mr.カラー80番コバルトブルー(5)、
Mr.カラーGX5スージーブルー(5)、
ガイアカラーNo.024コバルトブルー(3)

Mr.カラー34番スカイブルー(3)
ではいよいよ本塗装です。
まずは明るい方の青から塗装していきます。

今回は特にシャドー吹き等は行わず、ベタ塗りです。
資料本が古いせいもありますが、個人的には
F-2はあまり汚れているイメージがないためです。

青は塗料の重ね具合で色が大幅に違って見えますので、
たまにこのように尾翼等の別パーツを合わせてみて
色が違っていないかをチェックします。

幸いにも、今回は何色も混ぜたおかげか隠蔽力が高く
ムラ等は殆ど発生しませんでした。
続いて暗い方の青の塗装を行います。

今回は洋上迷彩のパターンをはっきりとさせるため、
説明書の塗装図を拡大コピーして型紙を作ります。

上面図は2倍、側面図は1.864倍に拡大コピーすると
大体キットに合うようです。なお、説明書には
「この塗装図は1/72スケールを50%に縮小〜」
とか書いてありますが、一応自分でも計算してみて
数値が正しいかどうかを確かめます。
また、曲面が多い機体では少し大きめに作らないと
(特に横方向に)上手く合わない場合もあります。

これを切り出してマスキング用の型紙を作りますが…
資料を見てみると、どうやら説明書の塗装図は
実機のパターンとはだいぶ違っていたようで…

特に主翼から胴体にかかる辺りは全然違います。
また、画像では線を引いていませんが胴体中央を通る
迷彩部分も波のパターンや太さがかなり違います。

仕方ないので、実機写真を参考に迷彩パターンを
ボールペンで書き込み、それに沿って切り抜きます。

なお、水平尾翼や垂直尾翼も多少の違いはありますが、
気になるほどでは無かったのでそのままです。
今更説明は必要無いかも知れませんが、
型紙の使い方について軽く触れておきます。

まず先に作った塗装図をできるだけ丁寧に切り抜きます。
鋭角的に切ったりすると意外と目立つので、
丸い部分はデザインナイフ等を使用します。

続いて、幅1cm程度の両面テープを用意します。
カッティングマットに貼り付けたら剥離紙を剥がし、
端から指先で丸めていき、こより状にします。
先程作ったこよりを、出来るだけ迷彩パターンに
合うようにして型紙の裏に貼り付けます。
こうすると、型紙が機体から少し浮き上がるので
その隙間に塗料が吹き込み、迷彩塗装の
境界線をわずかにぼかすことができます。

穴のふちから少し内側に貼り付けるのがポイント。
あまりふちに近いとぼかしにならず、
くっきりとした普通のマスキングになってしまいます。

準備ができたら所定の位置に貼り付けます。
この時、なるべくテープの浮き上がりが無いようにします。
胴体〜主翼の迷彩塗装は数回に分けて行います。

まず胴体中央を通る部分だけを塗り、続いて左右主翼、
最後に機首側面と分割して塗装します。
今回は胴体と主翼の迷彩の間隔を調整するため
このような手順をとりましたが、別に順番が逆でも
大した問題はありません。

塗装自体はまずふちにそって真上から吹きつけ、
その後細吹きで内側を塗り潰していきます。
こうすると、型紙の下への吹き込みを
必要最小限に抑えることができます。
迷彩塗装終了の図。
思ったより綺麗に出来ました。

ただし、一部に吹きこぼれがあったため
綿棒にエナメル溶剤をつけて擦り落としました。
また、細吹きで塗り潰していったため
部分的に艶が違っている部分もありますが、
これは後のクリアーコートで解消できます。

なお、説明の必要は無いかも知れませんが、
今回は水平尾翼、垂直尾翼、エアインテークは
それぞれ別々に保持して塗装しています。
これは塗装時の利便性を考えてのことで、
取り回しの向上、破損の防止等が主な目的です。
レドーム、各部アンテナ等を塗り分けます。
キットではMr.カラー317番が指定されていますが
少し印象と違ったので同308番で塗装しました。

こういった細部の塗装はエアブラシの細吹きで行うため、
全面をきっちりとマスキングする必要はありません。
塗装する周囲のみをマスキングテープでマスク、
他の部分はノートの切端や、下敷きにしてる方眼紙など
適当な紙を適当に切って適当に貼っています。

機首のIFFアンテナはそれぞれの間隔が狭いため
細切りテープを使用して慎重にマスキングします。
なお、IFFアンテナもそうですが垂直尾翼や胴体後部の
アンテナは基部のパネルまでグレーですので注意です。
空中給油口、他のアンテナ、ノズル周囲などの細部を
塗り分け終わったらスミ入れ兼ウェザリングを行います。

いつも通りエナメルの濃いグレーをパネルラインに沿って
適当に塗ったくり、大体乾燥させたら溶剤をつけた綿棒で
気流、油漏れ、染み等を意識しながら拭き取ります。
今回はシャドー吹きをしなかった分、特に胴体下面や
フラップ部分などは多めに拭き取り残しています。

なお、今回は妙に綺麗にパネルラインが残っていますが
これは特に彫り直しを行ったわけではありません。
そこまで最初から深かった記憶は無いのですが…
どうでもいい部分ではありますが一応紹介。

アレスティングフック収納部は実機では白であり、
意外と目立つので今回はスミ入れの要領で
濃い目のエナメル系の白を流し込んでみました。

完全に自己満足の領域ではありますが、
何となくニヤニヤ出来ます。

ところで、後で気付きましたが画像右側の四角パネル、
これは左右両方とも実機ではグレーで塗装されています。
気付いた時にはデカール貼り後だったので、
キット付属デカールの、垂直尾翼基部のパネル用の
ものを2分割して貼り付けました。
スミ入れが終わったらデカール貼りに入ります。
今回はPlatzの別売りデカールを主に使用します。

プリントも緻密ですし、キット付属のものよりも
細かいコーションデータまで多く含まれています。
ニスも少なめで、見た目はとても良い感じです。
ちょっと残念なのは、キット指定のカラーの使用を
前提にしているらしく、シリアルナンバーの縁取りなどの
明るい青が自作の色と合わないことでしょうか。

このデカールを使用した理由としては、
キット付属のデカールのウォークウェイの長さが適当で
ツギハギだらけの悲惨な状況になった数年前の経験から
それを回避するためというのが第一だったのですが…
これが貼ってみると全然合わなかったわけで…
くそう、売る前に自分のとこで試し貼りしてみろってんだ…

四の五の言っても仕方ないのでツギハギします。
特に難しいことはなく、デカールに含まれるF-2B用の
ウォークウェイを適当な長さに切り取り、足りない部分に
繋がるように貼り付けます。あとはある程度乾燥した後で、
余計な部分を慎重に切り取れば作業は完了です。

どうやらこのデカール、平面図から長さを測ったらしく
試しに先の型紙に合わせてみると大体一致します。
どうりで凸凹の少ない主翼のデカールは合うわけだ…
デカール自体は良質なので、先のウォークウェイと
胴体下のタービンライン以外は普通に貼ればOKです。

胴体下後部のタービンライン(赤い細線)は、
キットのデカール同様長さが全く合っていませんので
ウェーブのラインデカール(赤)を使用して修正します。

なお、今回は(というかいつも)デカール貼りつけ前に
クリアーコートを行っていないためシルバリングが
生じる可能性があったため、基本的に殆どのデカールに
マークソフター、セッターを使用しました。

デカール貼りつけ後、スーパークリアーグレートーンに
半光沢クリアーを混ぜたものでクリアーコートします。
レドームのライトニングストリップは、実機では良く見ると
暗い金属色が露出しているように見えますので
鉛筆の腹部分で軽く凸モールドをなぞっておきます。
鉛筆は塗膜には定着しないため、指で触ると簡単に
剥がれてしまうので塗装後にここだけもう一度
先程と同じクリアーを使用してコートしておきます。

ところで、ちょっと前に触れたライトニングストリップの
再生に使用した材料ですが、友人に話したところ
「気持ち悪い」と言われたため一応伏字にしておきます。
自分では別に大したことは無いと思うのですが…
ドラッグ反転→「
髪の毛
恐らくテグス等でも代用出来ると思います。
キットでは翼端灯の塗装指示が抜けています。
実機写真を参考にした方が良いとは思いますが、
一応今回塗装した状態を載せておきます。
上側はの出っ張りは画像の様に後ろ1/3程度が
翼端灯ですが、下側は全体が翼端灯となっています。

本来はこの部分はクリアーで内部の電球に着色が
されているタイプですが、塗装での表現は難しいので
無難にシルバーにクリアーカラーの重ね塗りです。

翼端灯等、ライト類の塗装には基本的にエナメル系を
使用しています。エナメル系は拭き取りが可能な上、
筆塗りに適していること等が主な理由です。
エアインテーク脇のライトも同様に塗装します。
ここの塗り分けは少々間違えやすいので、
実機写真等を参考に塗装すると良いと思います。

今回、エアインテーク部分の部品は機体との間に
塗料が上手く届かない可能性があったため、
この段階まで別々に作業をして来ました。
これはパーツ精度の高いキットだからこそ出来る芸当で、
精度の低いキットはこの方法だと隙間や段差が残ります。
そういったキットの場合は、先に塗料が届かない部分を
塗っておき、その後でパーツを接着して隙間や段差を
整形するという方法もあります。
脚柱はいつも通り白で塗装後ウォッシング、デカール貼り、
クリアーコート、一部にシルバー塗装の順で行います。
今回は主脚柱に注意書き風のデカールを
ジャンクデカールを切り出して貼ってみましたが
あまり…というか全然目立ちませんね。

なお、タイヤは先にホイール部分を白で塗ってから
ゴム部分をMr.カラー137番で塗りますが、前脚は
脚柱とタイヤが一体成型されているため少々面倒です。
色の境界部分はウォッシングのスミを多めに残して
誤魔化してしまった方が楽かもしれません。
インテーク取り付け後、脚柱を組み立てます。
主脚は構造がよく考えられており、かっちりと
組み上げることができますが少々パーツが多いです。

パーツ番号で言うと、F6→K4、K7→F17、F18→K5、K6→
→L1×2→L3×2→F1→L4×2 の順に組むと
お互いのパーツが干渉しにくくて組み易いと思います。

なお、L3はF6に合わせるとおかしなことになるので、
F6ではなくK5、K6との関係を優先して接着します。
F18、F17はK4、K7を固定すれば自動的に角度が
決まるのでそれに合わせて接着します。

…また意味不明ですが組んでみればわかると思います。
前脚のカバー裏側にはランディングライトが付きます。
キットにはクリアーパーツが付属するので
パーツ裏側をアルミテープに貼りつけて切り抜き、
表面以外の側面と裏面を艶消し黒で塗ります。
ライトパーツ(G1)には裏表がありますので注意です。

ちなみにタキシング中は本来点灯の必要は無いのですが
写真を見るとよく点灯していることがあるのは
実はパイロットからのファンサービスなのだとか…

前脚はA4(G1接着済)→K14→K1の順で組むと楽です。
キットのエンジンノズルパーツは絞った状態のものが
セットされていますが、駐機時(エンジン停止)は
基本的に開いている状態が正解のようです。

今回はF-16CJのエンジンノズルパーツを移植しようと
試みましたが径が全然合わず断念。
仕方ないので諦めてキットパーツを使用します。
キットのパーツは表面のアイリス板の境界が曖昧なので
エッチングノコで軽くなぞった後に、Pカッターや
デザインナイフで板同士の段差、隙間を強調しました。

また、エンジンノズル内部は多角形になっているので
0.3mmプラバンに等間隔に切れ込みを入れて曲げ、
内側に合うように調整して接着しました。
ノズル内部はセラミック製らしく、白となっています。
ただし排気ススのせいか黒っぽいスジ状の汚れが
見られるので、艶消し白で塗装後にエナメルで
ウォッシングし、後方に流れるように拭き取ります。

ノズル表面は金属色ですが、実機では明るくもなく
暗くもない微妙な色合いとなっています。
写真によっても色合いはまちまちですが、
今回はガイアカラーNo,020ガンメタルに

Mr.カラー8番シルバーを1/3程度混ぜエアブラシで塗装、
その後一旦クリアーコートを行い、さらにガンメタルの瓶の
底に沈殿している金属粒子を筆に付け、ドライブラシの
要領で表面に軽く擦りつけて仕上げとしました。
キットにはASM-2が4発分セットされています。
フィンが8枚バラバラなので組み立ては面倒くさいですが、
完成させれば結構良い雰囲気になります。

組み立て順ですが、まずN3とN5を接着、合わせ目消しを
行った後で、実機写真を参考に下側のフィンN4を2枚、
エアインテークとの位置関係を意識しながら接着します。
あとは上側のフィンN4を2枚、フィン同士の間の角度が
90度になるよう気をつけつつ順次接着ししていきます。
最後に後部のフィンN2を前の4枚と同じ角度になるよう
調整しながら接着すれば組み立て終了です。

接着には流し込み接着剤がおすすめです。
瞬間接着剤では微妙な角度の調整が難しいです。
今回は模擬弾(ダミー)ということで全面青で塗装します。
機体の塗装に使ったのと同じ青を使用します。

ノズル内側は白のようなので、先に紹介した
アレスティングフック収納部同様にエナメルの
白で筆塗り、はみ出しを拭き取ります。
なお、フィン取り付け部の内側張り出しがノズル穴から
見えてしまうので艶消し黒で塗って誤魔化しておきます。
本体の上側にはパイロンとの接続用のツメが
モールドされているのでガンメタルで塗り分けておきます。

今回、ASM-2にはスミ入れ等は行っていません。
スミ入れするモールド自体が少ないことも理由ですが、
機体と武装という別物の差を表現する目的もあります。
上に入りきらないので続き。説明書では先端をシルバーで
塗装するよう指示がありますが、実弾では発射後に
シーカーのカバーが外れるようになっているので
地上で露出している状態というのはまずありません。

兵装搭載用のパイロンです。
裏表でモールドが異なっていますがこれが正解で、
説明書では指示がありませんが接続部は
このようにガンメタルで塗り分けておきます。
機体への取り付けの際は、武装を先にパイロンへ
取り付けておき、その後で機体に取り付けると楽です。

接着には、万が一失敗した時のことを考えて
クリアーボンドの使用をおすすめします。
ちょっとASM-2について余談

今回は訓練用の模擬弾のつもりで全面青で塗装しましたが、これが果たして模擬弾なのか自信がありません。
資料によると基本的に全体が白かグレーのものが実弾、先端グレー、上半分赤、下半分黄色、フィンがグレーなのが
PTM弾と呼ばれるシーカーが生きている訓練弾、それ以外は地上の搭載訓練や飛行訓練用の模擬弾、
ということらしいですがネットで調べてみるとF-2の配備に合わせて全体青の実弾もあるらしい?です。
他にも本体が明るい水色、フィンがグレーでシーカーカバーが白い物の画像も見つかりました(多分PTM弾)
前述の通り、ASM-2のシーカーは発射後に外れる構造になっているためシーカー部分は全て基本的に
(実弾でも)カバーがかかっており、先端部分だけ見ても判別することができません。
しかし、航空祭などで展示される場合は大抵この全面青のものですし、そもそもASM-2の実弾が見られる可能性は
まず無いことから、恐らくこの全体が青のASM-2は模擬弾だと思われます。
ちなみに説明書の指示にもある赤・黄・緑の市松模様の塗装は模擬弾で、まだXF-2だった時代に投下試験等に
多く用いられました。試作機の写真では大抵この塗装のミサイルを下げています。

そんなことはさておき、ドロップタンク、ASM-2を
主翼の下に接着します。
今回はタンク2本、ASM-2×4発の対艦戦装備です。
主翼下にタンクを積む場合、センタータンクは
搭載しないようです(重量の関係?)

各パイロンには少し広くなっている部分があるので、
その辺りに接着剤を付けるとはみ出しにくいと思います。

翼端の放電索を取りつけます。
今回はウェーブの0.3mm真鍮線を使用。

長めに切ったものの先端に瞬着を付けて、
先に開けておいた穴に接着、余計な部分を切り取ります。
乾燥したら余計な部分を切り取り、余った部分を
隣の放電索に使用…という感じで作業を進めていきます。
基本的に、主翼も尾翼も放電索の長さは全て同じです。

切り取りにはニッパーを使用しますが、通常のプラ用だと
刃こぼれしますので金属用か不要なプラ用を使用します。

なお、差し込むための穴が塗料で埋まっている場合は
ピンバイスで軽くさらえば復活させられます。
主翼6本、水平尾翼6本、垂直尾翼4本を仕上げた状態。
垂直尾翼は後縁の3本以外に、航法灯後ろに存在する
斜め後ろ向きのものを見落としやすいので注意します。

数は多いですが、少々細かいだけで難しい作業では
ありませんので慎重に作業すれば問題ありません。
これだけでもかなり雰囲気が変わりますので、
追加工作するにはうってつけのポイントです。

なお、当然ですがちょっと引っかけただけでも
破損しますのでこの後の作業は十分注意します。
放電索の塗装を行います。
真鍮という金属素材ですが、この程度であれば
メタルプライマーの処理は必要ありません。

付け根をシルバー、中間を黒、先端を黄色で塗装します。
シルバーと黄色は色が目立つため、あまり塗る面積を
広くすると不自然になるので注意します

これで放電索の工作は終了です。
今回は0.3mmを使用しましたが、1/72だと
0.2mmくらいでも良かったかも知れません。
垂直尾翼前縁のアンテナは、キットではピトー管のような
段あり形状となっていますが実機はこのような丸みを
帯びた段のない形状となっています。

今回、放電策と同様に真鍮線で置き換えようとするまで
気付かなかったのですが、どうしても気になったので
真鍮線を芯にして瞬着を盛って整形、筆塗りで塗装して
仕上げました。
垂直尾翼後部には、重量増加に対応するための
ドラッグシュート(制動用の落下傘)が装備されています。

キットでは別パーツ化されていますが、モールドは
細かいのに塗装指示が1色なので塗り分けました。
上半分をMr.カラー116番ブラックグレー、
ベルトを同305番グレー、下中央のケーブルらしき
モールドを同317番グレー、下半分のオレンジ色の部分を
オレンジに適度に茶色を混ぜた色で塗装します。
全体をエナメル系でウォッシングした後、
最後にツヤ消しクリアーでツヤを消して完了です。

機体によっては上に白で番号が書かれているようなので、
自信のある方は再現してみると面白いかもしれません。
AAM-3はキット付属のものを使用。
弾体が青で塗装されたキャプティブ弾で、
グレーの部分が実弾と同じ部品で構成される訓練弾です。
実弾は全体がグレーとなっています。

パーティングラインを消し、押し出しピンの跡と
ランチャーとの接続用ダボ穴を埋めておきます。
特にダボ穴は役に立たない上に目立つだけなので
瞬着などできっちりと埋めておきます。
また、後尾には(訓練弾ですが)噴射口用の穴があるので
ピンバイスを使って穴を開けておきます。
整形後、先に青を塗ってからフィン等のグレーを塗装、
シーカーと前フィン後の2重のリングをシルバーで塗装、
後尾の穴をエナメルの黒で塗って完成です。
翼端ランチャーはサイズが合わないため、
そのままだと後部フィンが干渉して上手く付きません。
ランチャーのふちにある凸モールドが干渉するので、
デザインナイフなどで干渉する部分の凸モールドを
えぐるようにして削り取ります。あまり削ってしまうと
後から目立つため、必要な部分だけを仮組しながら
必要最小限だけ削るように心がけます。

接着はクリアーボンドを使用します。
後部フィンの裏など、はみ出しても目立たない部分に
接着剤を盛るようにして接着します。

なお、このキットAAM4発分のランチャーが付属しますが
何故かミサイルパーツは2発しか付属しません。
レドーム後部左右のAOAプローブは合わせ目消しの際に
邪魔になるので切り取ってしまいましたので、穴を開けて
マチ針の先端を切り取ったものを仕込みます。
マチ針の切断にはラジオペンチ2本を使用し、
片方で先端を押さえてもう片方で切断します。
先端が飛ぶと非常に危険ですので十分ご注意を。

機首のピトー管はファインモールド製の専用挽き物です。
当然サイズもピッタリですし、強度はもちろん
形状もキット付属のものとは比べ物になりません。
なお、実機同様レドームが若干下向きになっているため
そのまま付けるとピトー管が下を向いてしまうので、
接着の際にはレドームに対して若干上向きに付けます。
射出座席の製作。キット付属のパーツはあまりに
お粗末な出来で、そのままではとても使用に堪えません。
エッチングパーツを使用しても何とかなるレベルでは
ないので、他のキットから射出座席を流用します。

画像は同社F-15Jのパーツを載せた状態。
F-2とF-15は基本は同じACESU射出座席ですが、
細部が若干異なっているようです。
ただ、そこまで大差は無いので今回はこれを使用します。
どうせそのままでは使用できませんので、ディテールを
追加しながら相違点も修正していこうと思います。
とりあえず工作が終わった状態。
頭頂部のツノ状のキャノピーブレーカー、
その左右の突起(ピトー管らしい?)をプラバンで追加、
パラシュート押さえのベルトをエッチングから追加、
射出レールをエッチングから追加しています。

なお、たまに射出レールを「コ」の字型のパーツに
置き換えている作例がありますが、実機は
「L」字型となっていますので注意です。

キャノピーブレーカーはエッチングにもありますが、
少々薄すぎるのでプラバンで作り直しました。
また、射出レールはそのままだと幅が広くコンソールと
干渉してしまうので干渉する部分を短く切っています。
工作後、シートを塗装します。基本は艶消し黒、
レールはグレー、座席左のボンベは緑です。
ウォッシングの後、黒の部分にドライブラシをかけます。
ここで一旦艶消しクリアーコートを行います。

シートの座面は起毛状となっていますが、
当然ながらモールドで再現などはされていません。
そこで、濃度が高めの艶消し黒を硬い筆につけ、
叩くようにして何回も塗ることで表面を凸凹にし、
起毛状の雰囲気を表現してみました。
ティッシュペーパーを木工用ボンドで貼り付ける方法も
あるようですが、このスケールには不向きかと思います。

塗装後、シートベルト、射出ハンドル等を接着します。
キャノピーは真ん中の1つにだけパーティングラインが
存在します。ここは普通に1500番のペーパーで消し、
タミヤコンパウンドを粗目→細目→仕上げ目とかけ、
最後にハセガワのセラミックコンパウンドで磨けば
跡形もなく消し去ることが出来ます。

細切りテープ等でマスキングした後、グレー、機体色、
デカール、クリアーコートの順に塗装します。
F-2はフレーム内側がグレーなのが特徴ですので、
この順に塗装すると良いでしょう。

塗装後、外と内側にハセガワのコーティングポリマーか
タミヤのモデリングワックスを軽くかけておくと
透明度が上がる上に埃が付きにくくなります。
中央のキャノピーにはロック用のツメがあるので
エッチングパーツから追加した他、前側にバックミラーと
その左右に謎の出っ張りをジャンクのエッチングから
適当に切り出して追加します。
接着にはクリアーボンドを使用します。

後部のステー状の部品(パーツK8)は
黒の塗装指示がありますが、実際はグレーですので
キャノピー内側と同色で塗装した他、
ストライプ状の模様があるので細切りデカールで
黒と黄色(ジンクロイエロー?)のラインを追加します。

なお、この画像ではキャノピーとK8を固定していますが
K8は先に機体側に付けたほうが都合が良いようです。
キャノピー固定前に計器盤フード上にHUD(パーツG3)を
接着します。HUDは左右のフレームを黒で、断面を
クリアーグリーンで塗るとそれっぽくなります。
HUDは見る角度で色が変わるので、入手出来るのなら
オーロラフィルムを使用するのも良いかもしれません。

キャノピー、HUDともに固定には木工用ボンドを使用。
絶対にクリアーパーツを汚すことがありませんし、
はみだしも綿棒等で簡単に取り除くことが出来ます。
強度に不安を感じるかも知れませんが、ちゃんと使えば
剥がそうとしなければまず剥がれる事はありません。
最後に垂直尾翼、水平尾翼を取りつけ、忘れがちですが
機首右脇のピトー管(K12)を取りつければ完成です。

途中少々間が空きましたが、約1ヵ月で完成しました。
一日中作業していたわけではありませんので、
乾燥時間を除けば実働50時間程度でしょうか。
手の早い人なら1週間で完成してしまうでしょう。

色々と不満な点もありましたが、基本はとても組み易く
1/72相応の出来の大変良いキットだと思います。
今回は初心者の方+αくらいの方にも参考になるよう
いつもより細かく説明したつもりですが如何でしょうか。
この先F-2を作られる方はどんどん増えるでしょうし、
そのような方に少しでも参考になれば幸いです。


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