1/72 F/A-18C"VFA-195 DAMBUSTERS"
(ハセガワ)
2009 4/23完成

アカデミーの1/72 F/A-18Cホーネットです。

久々の現用機製作ということで、いつもの架空機体とは違って
製作に際しては機体ごとの細部の差異等の考証面にも気を配ってみました。

しかしながら思いのほか製作する機体の資料が少なかったり、
デカール貼りの段階で急遽マーキングの年代を変更したりと、
結局のところ考証に関しては自信を持てない作品となってしまいました…

とはいえ、完成してみると普段のマクロスメカや架空塗装機とは違う
実在する兵器らしさというか、現用機独特の雰囲気が感じられて
細かい部分はともかくなかなか気に入ってたりします。

製作記はこちら
F/A-18ホーネットは、空軍の軽量戦闘機の競争試作において
GD社のYF-16に敗れた、ノースロップ社のYF-17コブラをベースに開発された
多目的戦闘機(マルチロールファイター)の代表的な機体であり、
米海軍・海兵隊をはじめ世界各国で運用されています。

米海軍では高価なF-14の補助、そしてF-4、A-6、A-7等の後継機として
F/A-18を採用しましたが、その運用性の高さとコストの低さ、そして何より
その高性能さから現在では米海軍の主力機の座についており、
湾岸、アフガン、そしてイラク戦争においても多大な戦果を挙げました。

現在ではF/A-18E/F"スーパーホーネット"の登場により、
A/B/C/D型のいわゆる"レガシーホーネット"は徐々に数を減らしつつありますが、
F-35の配備開始、そしてスーパーホーネットへの機種転換完了まで
まだ暫くの間は米海軍・海兵隊の主力機の座を譲ることは無いでしょう。
キットはアカデミー製の1/72 F/A-18Aを使用。

今回はC型のキットが入手できなかったためA型のキットを使用しましたが、
こちらは単にデカール変更&A型用パーツを追加したキットですので
デカール以外は普通にC型としても組むことができます。

アカデミーの1/72 F/A-18は比較的新しいキットであるため、
実機の最新型(機首のIFFアンテナ等)も再現可能となっています。
細部のディテールや機体のモールドも秀逸で、現状では
間違いなく1/72のレガシーホーネットの決定版キットと言えるでしょう。

しかしながら、実機の構造上致し方ない部分もあると思うのですが
正直なところ、組み易いとは言い難い部分も散見されました。
その辺りについては製作記でも触れていますので、そちらをご参照ください。
製作は基本的に素組みですが、気になった部分には多少手を加えています。

機体のパネルラインやリベットは全体的に綺麗に入っていますが、
胴体の側面等にかなり薄くなっている部分があったことと、
一部に間違いも見られたことから全体的に彫り直し&ラインを追加。

また、合わせ目に生じる隙間がパネルラインになる部分も多く、
そこも最終的には隙間を全て埋めてから彫り直す必要があったため
スジ彫りに関する作業は1/72キットにしては結構な量となりました。

なお、キットは表面全体が梨地仕上げとなっていたため、
下地のサフ吹き後に一回全体をペーパーがけして均してあります。
さすがに最新キットだけあって、機体のプロポーションやディテールは
実機の雰囲気を非常によく捉えていると思います。

微妙な曲面と平面で構成される、凸凹の多い胴体部分や
独特なラインのストレーキやそこから繋がる胴体上面、
主翼の捻り下げ(コニカルキャンバー)等の表現は特筆ものです。

ただ、唯一気になったのはキャノピーの大きさでしょうか。
実機自体が結構小型なため、相対的にキャノピーが大きく見えるのですが
このキットは特にその傾向が強く、キャノピーが一回り大きく見える気がします。
もっとも、このあたりは個人のイメージが大きく絡んできますので
致命的なミスとは言い難い部分ではありますが…
塗装は基本的に説明書の指示の通りに行っています。

機体上面はMr.カラー307番、下面は同308番、各部の白は同316番、
垂直尾翼内側の緑は同302番、上端及び前縁の黄色は同329番を使用。
他の細部塗装も、大体説明書の指示色をそのまま使用しています。

今回は米海軍機ということで、特に激しく汚れたその雰囲気を
再現すべく、今回は黒に近い非常に濃いグレーを下地とし、
それを残すようにしながら機体の基本色を塗装していきました。

本来CAG機というのは比較的綺麗な事が多いのですが、
それはまあ置いといて、あくまで模型映えと雰囲気ということで…
今回のマーキングは、厚木基地に駐留するCVW-5でお馴染みの
VFA-195ダムバスターズ所属、NF400"Chippy Ho!!"1998年11月仕様です。

当初はハセガワの限定版デカールを使用予定でしたが、
色々ありまして結局同社の定番キットよりデカールを流用しました。
デカール自体の欠点はシルバリングが発生し易い点くらいでしたが、
肝心の考証面(特に文字の色)については少々疑問の残るものでした。

ドンピシャの時期の実機写真が殆ど見つからないため確証はありませんが、
少なくとも唯一発見できた画像(1998年7月)では、機体各部の文字は
このようなグレーではなく黒(もしくは濃緑?)で書かれています。
完成後はあまり見えませんが、コクピットは1/72にしては
結構細かい部分まで雰囲気良く再現されています。
キャノピー内側に付くアクチュエーターが、縮んだ状態まで
再現するパーツが付属しているのは注目すべきポイントでしょう。

パイロットフィギュアはハセガワの1/72 F-16CJから転属。
厳密には空軍と海軍では色々違うようですが…
なお、実物のヘルメットには色々とマーキングが施されているようですが
小さくて良く見えませんし、どう考えても失敗するので今回は省略。

キャノピーは塗装前にも仮組を行ってチェックしたはずでしたが、
ウィンドシールド前側とキャノピー後部に若干隙間が生じてしまいました。
ウィンドシールドくらいは塗装前に取り付けるべきだったかも知れません。
マルチロール機体ということで、武装もマルチロール仕様に。

実機で非常によく見られるドロップタンク3本装備に加え、
対空装備の定番となっている主翼端のAIM-9Lサイドワインダー×2、
対地攻撃には欠かせない目となる胴体左側のFLIRポッド×1、
SEAD(対空火器制圧)ミッションの要であるAGM-88HARM×2、
そして胴体右側にAIM-7Mスパロー×1を搭載した形態としました。

近年、このような武装の搭載形態が見られることは少なくなっています。
E/F型では機内燃料増加に伴いドロップタンク1本、AIM-9LはAIM-9Xへ、
AIM-7MはAIM-120アムラームへと武装のアップデートが進んでいます。

ちなみに全てのミサイルが実弾となっている理由は、模擬弾(青)を積むと
単に全体の色のバランスが悪くなると思っただけだったりします。
F/A-18の元となったYF-17はF-20同様にノースロップ社の開発でしたが、
設計変更の際、艦載機の経験がないノースロップ社に代わり、
マグダネル・ダグラス社が設計を担当、F/A-18ブランドは同社へと移りました。
その後、マグダネル・ダグラス社(以下MD)はボーイングに吸収合併され、
現在ではF/A-18はボーイング社製の戦闘機として広く知られています。

F/A-18とF-20は共に、T-38やF-5から続くノースロップ社が開発した
軽量戦闘機シリーズの血をひく機体であり、こうして並べてみると
両者のもつ雰囲気は、まるで兄弟のように意外なほど似通っています。
(ちなみに、両機とも同じF404エンジンを搭載しています)

現在、戦闘機メーカーの座を退いてしまったノースロップ・グラマン社ですが、
MD社にいわば”里子”に出したF/A-18が、現在でもノースロップの血を継ぎながら
世界各地の空を飛び回っていると考えると非常に感慨深いものがあります。




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